往復書簡2014 第2便 ウラの教育

北川さま

 

こんにちは。ご無沙汰しております。ふたたび始まりましたね。往復書簡。

じつは私、往復書簡とか交換日記のようなものって北川さんとが初めてなんですよ。

まあそもそも子ども時分の私は、クラスで忘れ物競争の一位二位を競っているような男子でしたから、そんな色っぽいこととは無縁な学校生活を送っておりましたしね。

でもひょっとしたらあのときのクラスメートの中には、そんな秘め事を密かに行なっている友達なんかもいたのでしょうか…。

 

いやいや、まあそんなことはともかく。

今度のテーマは「ケンカ」ですか。これはたしかに考えさせられるテーマですね。

もちろんケンカなんて無い方が良いに決まっています。

(整体の野口先生も最初に団体を立ち上げたときには、そのスローガンとして「みんな仲良く」ということを挙げたという話を聞いたことがあります…ホントかどうか知りませんけど)

無い方が良いんですけど、現実にあるわけだし、そして起こることを防ぐことはまず不可能なわけです。というよりそんなことをしてしまったら、もっと激しくあるいはもっと陰湿に暴力が動き出してしまって、ますます手がつけられなくなってしまいます。

 

それは整体の生命に対する一貫した姿勢で、風邪に対する態度と同じことですよね。

風邪やら発熱なんて無い方が良いに決まっていますが、日頃の不満や我慢や不摂生などが溜まってくれば、どこかで調整しなければいけないわけで、それで私たちはときに熱を出し風邪を引く。

それを抑えていれば、やがて溜まりに溜まって圧縮された排泄反応が起こることになり、それは倒れて動けなくなってしまうほどにもなりかねません。

 

ですから、風邪でもケンカでも同じ事で、ケンカになってしまったときにどうすれば良いのか、どのようにケンカをするべきか、そういうことを考えていくことの方が大切なのだと思うのです。ですから私も北川さんと同じように、ケンカは起きてしまったのなら全うするべきだと思います。

ただそのときに、やはりその「方法」が重要ということになりますね。

 

世の中、良いことであろうと悪いことであろうと、それなりの作法というものがあると思います。もちろんケンカにも作法がある。「それはやっちゃいけない」というライン。ですが、そういうのって公的に教えられることでは無いんですよね。

 

まさか学校の先生が「ケンカの作法」なんて教えるわけにはいきません。確実に親や社会から「お前はケンカを推奨するのか!」と叩かれるに決まってますからね。

だからたとえ教えるにしても、「あんまり大きな声では言えないけどな…」とウラでこっそり教えるしかない。でもそういういわば「ウラの教育」というものは、絶対に無くなってはいけないものだと思います。

 

よく「ウラ社会」とか言いますけど、そういう人たちって世の中のウラの事情やウラの作法に通じている人たちですね。私もよく知りませんけど、ウラの作法ってオモテの作法よりよっぽど厳しかったりしますよね。

オモテのルールに自分を合わせることができずにいわゆるドロップアウトした人たちが、より強固なルールを自分たちで構築していくというのも、考えてみると何故そんなことが起きるのか不思議でありますが、でもとにかくそういう人たちこそウラの作法をきっちりと作り上げ、そしてそれを脈々と受け継いでいっている。

 

きっとそこでは若い衆が、兄貴から「オマエはホントに物分かりが悪いな」とか何とか言われながら、いろんな作法を叩き込まれている。おそらくそこでの教育は、かなり封建的なやり方で行なわれているんじゃないかと空想しますが、でもそういうことの伝授って、そういうやり方の方が向いていることは確かです。一つ一つ言葉にして「これはこうで、これはこうだ」とか説明せずに、「いいから黙ってやれ」的な、「四の五の言わずにからだに教え込む」的なこと。

 

そういう教授のやり方ってついつい体罰的なものにつながりやすいですし、一般的にもそういうことを空想してしまうので敬遠されがちですが、別に体罰なんかしなくてもできるんですよね。

つまり、それこそ私たちのやっているようなボディワークを通じてです!(ドヤ顔)

 

教育の中にもっとボディワークが入ってくれば、ホントに良いと思うんですけどね…。

 

でも考えてみればなかなか難しいことですね。

ケンカという衝動的な行動をとっているときに、いかに相手に致命的なダメージまで与えてしまぬように自分の行動を自制するか、ということを内面化していかなくてはいけないんですものね。もしそんなところまで入っていけるワークができたら面白そうですが…。

 

しかし次回のコラボ、北川さんはケンカのワークですか…。

北川さんらしい素敵なワークですが、私はいったい何をしましょうかね?

いきなり大きな宿題をもらってしまいましたが、どうしようか思案のしどころです。

 

「仲直りのワーク」……とか…?

 

これはまた、ケンカするより難しかったりして!()

 

 

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